エグゼクティブ座談会 第二弾
国内SMS事業者トップによる座談会
市場を拡 大しつつ、健全なものにしていくには。
SMS(ショートメッセージサービス)の歴史は古いものの、日本では携帯電話事業者間の接続がされず、国内の各事業者がEメールサービスに注力されたため長年目立つ存在ではありませんでした。しかしその後、iPhoneをはじめとした端末の普及や多要素認証の普及などにより、SMSが再び注目を集めています。
当協会には、SMS配信市場のリーダー企業たちが加盟しており、日々議論を行っています。今回、会員事業者のトップの皆様に参加いただき、SMSをはじめとしたメッセージング業界のこれからについてのお話を伺いました。
▶️エグゼクティブ座談会第一弾「クラウド電話サービス事業者トップによる座談会」

− まずは皆さん、自己紹介をお願いいたします。
奥岡:株式会社メディア4uの奥岡です。私は1991年に名古屋の電通名鉄コミュニケーションズという広告代理店に入社し、2005年にファブリカコミュニケーションズを経由してメディア4uの設立に参画しました。そこからずっとメディア4uの代表をやっています。動画配信のビジネスでスタートして業績は好調だったのですが、YouTubeが急激に伸びてきて、これには勝てないと判断して2年半くらいで提供を終了しました。その後はピボットを行い、メール販促の仕組みをスタートしたのですがあまりスケールせず、2011年からSMS事業を提供しています。ドコモからau、auからソフトバンクと相互に乗り入れしたときに始まったのですが、12年経ってようやく形になっているという状況です。
松森:ネクスウェイの松森です。1991年にリクルートに入社して、現在もネクスウェイの主力事業であるFAX事業に配属されました。そこで10年ぐらいエンジニアを経験した後に退職し、オールアバウトや楽天を経て、2019年に出戻りで社長をやっています。ネクスウェイの売り上げの半分ほどはFAX事業なのですが、FAXと同様のビジネスモデルができるだろうということでSMS事業に参入させていただきました。現在、成長事業として一番力を入れています。よろしくお願いします。
岡:りーふねっとの岡です。JUSAでは設立時から副会長を務めさせていただいております。大学を卒業した後、公共工事の設計と予備校の会社を立ち上げました。そしてiモードが登場した1999年、iモードに関するビジネスをスタートさせました。2001年に日本初のモバイル消費者キャンペーンとして着メロキャンペーンがヒットしたり、アニメーションをガラケーで動かすFlash事業が一気に伸びたりしたのですが、リーマンショックやiPhone発売、311と立て続けにいろいろあって、ガラケー市場が終了しました。2017年頃から通信事業を始めたと同時に、SMSに関する事業がスタートしました。コンテンツや開発事業も行なっていますが、主軸が通信事業に移ってきているという感じです。

株式会社メディア4u 代表取締役社長 奥岡 征彦氏
1991年、株式会社電通名鉄コミュニケーションズ入社。マーケティング局等企画部門に15年従事。2007年に同社代表取締役社長に就任(現任)。2011年に国内法人向けSMSサービス「メディアSMS」を立ち上げ。2019年株式会社ファブリカコミュニケーションズと合併、取締役に就任(兼任)。SMS送信サービスをコアに様々なプロジェクトを推進している。
コロナ禍に自治体で使われたことで認知が広がり、民間企業にも波及していった
− ここ数年、コロナ禍により世界中で大変な状況になりましたが、皆さんのビジネスはいかがでしたか。
奥岡:当社のSMS事業は追い風でした。コロナ関連の対応で、保健所は電話をかけられない、受けられないという状況に陥り、SMSで健康観察をフォローすることになりました。自治体で使われたことで認知が広がり、民間企業にも波及していったので、そこは良かったなと思っています。2022年の11月には全数把握を終了することになったので、現在はコロナ関連の利用は落ち着いています。
松森:ネクスウェイのSMS事業はかなり後発で、ちょうどコロナ禍の少し前から力を入れ始めました。毎年着実に伸びてきてはいますが、関連があるかははっきりしていないですね。事業全体としては、FAX事業や受信したFAXをWebに流すサービスも提供しているのですが、世の中の物流量が減ったことで下がった部分もあれば、オフィスに行けなくなったことで新たに使ってもらえるようになったクラウドサービスもあるので、プラスマイナスゼロという感じです。
実は当社のFAX事業に関しては、未だに毎年の取扱量が増えています。これは推測なのですが、世の中のFAXの量自体は微減しているため撤退する企業がいる。そして、その部分をカバーする形で我々がどんどんシェアを伸ばしているのかなと。ただし、単価は下がってきているので、売り上げ的にはほぼ横ばいですね。
岡:SMSのサービスは以前からやっていたのですが、自社サービスを中心に販売していたので、BtoBとして提供し始めたのは割と最近です。従いましてコロナの影響があるかって言われると、SMSに関してはありませんでした。他の通信事業に関しては、テレビ局向けのサービスがコロナ禍で取材に行けないこともあって影響はありました。当時はある程度それを織り込んでいたので、通信事業はそこまで影響がなかったと言えるかもしれません。しかし、事業全体では伸ばすことができていました。

ネクスウェイ 代表取締役社長 松森 正彦氏